ごあいさつ
経営者の多くが、事業承継に際して、一度は「親族内承継」を考えるものです。しかしながら、価値観の多様化や社会環境の激変といった外的要因により、経営者と後継者の双方に不安が残り、親族内での後継者確保は困難の一途をたどっているのが現実です。また、95%以上の経営者は何らかの形で事業を他者に承継したいと考えているようですが、M&Aという手法に接する機会がないため、従業員や家族のために会社の売却をためらう経営者も多いようです。
その結果、廃業や清算というマイナスの思考迷路に入り込み、事業意欲を減退させている傾向があります。このような事業承継問題について苦悩している中小企業の経営者が多く存在していることは、地域経済の停滞と地域の経済地盤の低下にも繋がることになります。
このような現状に鑑み、会計人としての私にできる支援や解決策の一つとして、「事業承継型のM&A」をご提案していくことにいたしました。事業を健全な形で他の企業に受け継いでもらうことにより、「のれん」や従業員の皆様、お取引先、お客様という大切な“財産”を守っていただこうというものです。手塩にかけて育ててきた会社を他社に譲るということは、愛娘を嫁がせるに等しい寂しさもあろうかと思いますが、その愛娘が幸せになれるのであれば、父親としての喜びもあるのではないかと思っております。
このような考え方のもと、各金融機関や行政、会計事務所が連携することにより、地元に密着したM&Aの機関を設置することができれば、中小企業の事業承継の円滑化を図り、地域経済の地盤沈下を防ぐ役割を果たすことができるのではないでしょうか。会計事務所の枠を超えて地域の中小企業のみなさまのお役に立てることができることを心から願っております。
